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本を読むことの何が楽しい?

読書をしている最中には、自分の内面に無限の宇宙が広がる。

自分がどこに居ようが、時すらも関係なく、本を開けばたちまち著者と自分との対話が始められる。
それを遮ることは何者だろうとできない。

知らないことを知るために本を読んでいるのはその通りなのだが、それ以上に著者の文体や選ぶ語彙、リズムを通して著者自身の人柄を垣間見るのが楽しいのだ。

特に楽しいのは、古典や古書を読むこと。

本は紀元前から存在しており、記録媒体として最も歴史の長い文物だ。
国と時代を越えて様々な人々の営みを知ることのできる唯一のメディアである。

古い本であればあるだけ、今までにそれを読み継いできた人がいる。
今夜空に浮かんでいる星が、原始時代に光っていたものとほとんど変わりがないように、その内容が時代の流れと共に、一定の人々の間に生き続けていることを想像すると、たまらなくロマンチックな気分になってしまう。

時間をかけてゆっくり本を読むのは言わずもがな幸福なことだが、時間がないときにこそスイッチを切り替えるために、一度立ち止まって本を味わおうとするのが日常の中で大切だなと常々思っている。